Natale


「……本当に来ていただけるとは」
「……オマエが言ったからなんだけど」

骸は目の前で大荷物を抱えて佇む綱吉の姿に彼らしくない呆然とした表情を向け、ぼそっと言葉をこぼした。
そんな骸を綱吉はキッと見返す。

「そんな事より荷物重いから中に入れて欲しいんだけど」
「あぁ失礼しました」

綱吉の言葉でハッとした骸は荷物を受け取り部屋の中へ入っていく。
骸の後ろを綱吉はいたずらが成功したという満足そうな表情でヒョコヒョコと追いかける。

「よく24日に自由な時間を作らせてもらえましたね」
「うん、我ながら頑張ったと思う。もう少しでリボーンに殺される所だった」
「……アルコバレーノ以外にはなんと説明したんですか?」
「嘘はつかずに『一緒に過ごしたい人がいるから24日休みちょうだい。』って。まぁ誰と過ごすとは言ってないけど」
「君は……本当に逞しくなりましたね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」

ワイン冷蔵庫に入れるねー。と言いながら綱吉は勝手知ったる部屋のキッチンに荷物を広げていく。
骸はそんな綱吉を壁に寄りかかりながら見つめた。

「跡継ぎを欲しがってる古参の幹部たちは騒いだんじゃないですか?」
「うん。大騒ぎ。ファミリーのパーティーに連れてこい、どこの家の人だ、何をしている人だ、結婚は考えてるのか、って」
「相手が僕だと知ったら今にもくたばりそうな人も多いですし、一人や二人心臓が止まってしまうんじゃないですか?」
「うん、その可能性は高いよね。とりあえずリボーンと獄寺くんが収拾してくれたよ」

二人には後でお礼言っておけよ!あ、このオリーブ美味しい。
そう言いながら綱吉は慣れた手つきで冷蔵庫に物を詰めていく。

「綱吉くん」
「ワイン、スパークリングの甘いやつにしたけど良かった?」
「綱吉くん」
「あとで足りない食材買いに行こうな」
「綱吉くん、こっちを見てください」

骸の言葉にばつが悪そうな表情で綱吉は顔をあげた。
ほぼ距離がない状態で二人は向き合う。

「……勝手したから怒ってる?」
「なんでですか?誰よりも僕を優先してくれた君を怒る理由なんてありませんよ」
「……でも顔が怖い」
「怒ってるとすれば、君のその隈に、でしょうか」

骸の言葉にハッと綱吉は目元を手で隠す。

「どれくらい無理したんですか?」
「あー……2日間寝てないくらい、だよ…?」
「まったく、君は」

ため息をついた骸に言い訳しようと綱吉が手をよけると同時に、綱吉の身体はフワッと持ち上げられる。
一瞬のうちに骸の腕の中にすっぽりと納められ、抱きかかえられてしまう。

「うっ、わっ」
「僕のためにありがとうございます。今日明日の君の時間は僕が自由に使っていい、のですよね?」
「うん」
「では、まず一緒に昼寝しましょうね。ベッドの上で二人寄り添って好きなだけ睡眠を貪りましょう」
「でも、骸は別に眠くないだろ?」
「僕は君の体温を感じながら寝顔を見させていただきますよ」
「……それはそれで嫌だな」

顔をしかめる綱吉に骸はクフッと微笑む。

「僕も睡眠不足気味ですから、恐らく君につられて眠れると思いますよ」
「でも、せっかく作った時間がもったいない」
「では一緒に眠って、夢で過ごしましょう。君と僕にしか出来ない過ごし方ですよ」
「……骸はそれでいいの?」
「君が居ればそれだけで僕は満足なんですよ」
「そっか」

ベッドにゆっくりと綱吉をおろした骸はチュッと髪に唇を落とし、柔らかに微笑む。

「好きなだけ寝て、自然と目が覚めたら次に二人でクリスマスパーティーを開きましょう」
「うん」
「君が用意してくれた食事でささやかなパーティーを。二人だけで」
「うん」
「二人で他愛もない事を話しながらお酒を飲んで、そしたらまたベッドで抱き合って眠りましょう」
「うん」
「とても幸せなクリスマスですね」
「うん」
「僕の願いを叶えてくれてありがとうございます」

最高のクリスマスプレゼントです。と骸はキレイに微笑みながら言う。
そんな骸につられるように綱吉もニッコリと笑う。

「オレもクリスマスに骸との時間欲しかったから、お互いプレゼント貰えて良かったな」
「そうですね」

そしてお互い視線を合わせ、幸せそうに笑い合う。
ふっと真面目な顔になった骸が、言う。

「Sei sempre nel mio cuore. Buon Natale!」
「うわ、相変わらず気障だな!」

綱吉はクスクスと笑いながら骸の首に手を回すと引き寄せ、唇を軽く触れ合わせる。

「Buon Natale!」

※Sei sempre nel mio cuore. Buon Natale!
→私のこころの中には、いつもあなたがいます。Merry Christmas!
(2009/12/24)
骸の欲しかったプレゼント「綱吉くんとの時間」を叶えてあげた男前綱吉。