トライアングラー Side:骸


予定よりも山本の所に長居しちゃったなぁと伸びをしながら執務室に足を踏み入れた綱吉は隠しもしない殺意にビクッと身体を震わせた。

「……えと、骸」
「君、すっかり僕のこと失念していましたよね?」
「そ、そんな事あるわけないじゃん!」
「そう、ですか」

ソファに長い手足をだらしなく放りだした骸はすぅっと冷たい瞳で綱吉を見つめた。
射貫くような視線に綱吉はホールドアップする。

「……オレが悪かった。忘れてました」
「期待はしてませんでしたけどね」

ため息をつきながら呆れた顔をした骸は、次の瞬間真顔になる。
左右色違いの瞳に射貫かれた綱吉はゾクッと背筋に冷たいものが走るのを感じた。

「ところで綱吉くん」
「な、なに!?」
「山本くんに何をされたんですか?」
「…え!?」
「顔、真っ赤ですよ」
「えっ!?」

思わず両手で頬を挟みこんで確認する動作を取った綱吉は自分の失態に気付き「あっ」と声を上げた。

「ワイン飲みすぎたかなぁ…ははは」
「白状なさい」
「ははは」
「観念して、白状なさい」
「ははは……怒るなよ?暴れるなよ?」

そう念を押すと綱吉は誤魔化せばいいものを馬鹿正直に山本との一件を骸に報告した。
骸はきつく目を閉ざし、柳眉を寄せながら大人しくそれを聞いた。
全てを話してすっきりした綱吉とは逆に骸は苛立ちを隠そうともしない表情で言った。

「それで、君は山本くんと付き合うんですか?」
「えっ?」
「告白されて、キスされたけれど嫌じゃなかった、と」
「う、うん」
「で?」
「正直分からないよ……山本の事は嫌いじゃないし」
「ふーん。君は嫌いじゃなければ誰でもいいんですか?」
「はっ?そんな訳ないだろ?」

綱吉の言葉にイラッとした骸は突然立ち上がるとローテーブルを踏み越え綱吉の胸ぐらを掴み、唇を強引に奪った。

「んっ…んーっ!」

必死に唇を結び唇を割って舌を侵入させようとするのを拒み、更に骸の胸をバンバンと叩きながら抵抗する綱吉に諦めた骸は唇を解放した。

「おまっ何するんだよ!」
「僕も君とキスしましたよ?嫌でしたか?付き合いますか?」

癇癪を起こした子供のように言葉を並べる骸に被害者であるはずの綱吉の方が加害者であるかのような罪悪感を一瞬覚え、大きな瞳をパシパシと瞬かせた。

(初稿2010.05.06)
山本に対抗して子供のように我が儘を言う六道さんが好きです