夢で逢いましょう


柔らかに自分を受け止めてくれる大きなダブルベッドで眠りについていた綱吉はギシッと自分の背後でマットが少し軋んだ事に気付いた。
その次の瞬間にはベッドの中に何かがスルッと入り込み、背中に暖かく大きなモノが張り付き、細い腰に長い腕がしっかりと巻き付く。
考えなくとも誰の仕業かが分かった綱吉は重いままの目蓋は開くこともせず、後方に話しかけた。

「……気配消して入ってくるなよ」
「どうぞお気になさらずそのまま寝てください」

綱吉の首筋に顔を埋めるように深呼吸をした骸が、コソッと綱吉の耳元で囁く。
顔だけでなく声も無駄に良い骸は、そうする事で綱吉にどのような効果を与えるか十分把握した上でそういう行動を取っているから質が悪い、と綱吉は思う。
骸の思惑通り、綱吉の背中にはゾクッと不快感ではない感覚が走る。

「……硝煙の臭いがする」
「任務が終わって飛んできたので」
「まだ、終わらない予定だったと思ったんだけど?」
「綱吉くんが足りなくなったのでちょっと頑張ってみました」
「シャワーくらい浴びてきたら?」
「今はその時間ももったいないです」

キッパリと言いながら綱吉をギュッと抱きしめ後頭部にすり寄る、もう十分に大人な年齢の骸の行動に綱吉は苦笑する。
いつもならば不埒な動きをする手も、今はただ綱吉にしがみつくように腰に固く回されたままだ。

「はいはい……お帰り、骸」
「ただいま、綱吉くん」
「また眠れなかったの?」
「綱吉くんが居ないと、安心して寝ることなんて出来ません」
「うーん、それは困るからさ、眠れるようになろうよ」

オレだっていつも骸と一緒に寝てやれる訳じゃないしさ。
綱吉の言葉に骸は嫌々と首を振る。

「僕はここじゃないと寝れません」
「オマエってさ……時々子供みたいだよなぁ」
「子供でいいです。僕の寝場所はここです」
「はいはい」

大きな子供に懐かれたよなぁ、と思いながら腰に回された腕をそっと撫で綱吉は苦笑を深める。
綱吉の手の感触に気をよくした骸が背後であくびをした。
常時隙を見せない男の、数少ない緩んだ姿に綱吉は苦笑を緩やかな笑みに変える。

「おやすみ、骸」
「おやすみなさい、綱吉くん。―――良い夢を」

骸の言葉と共に、綱吉はそのまま眠りの世界へと意識を手放した。

(2010/02/01)
綱吉の側じゃないと安眠出来ない骸が居たら可愛いと思います。