クリスマス、終了


「ただいまーっと、……骸、いるの?」

大学の友人達との忘年会にかこつけた何回か目の飲み会を終え、良い感じに酒が回り上機嫌で帰宅した綱吉は部屋の電気をつけようとしながら部屋の中に気配があることに気付き声を掛けた。
そして、それと同時に部屋の電気をつけ……絶句した。

「……何、やってる、の?」

綱吉の視線の先には、ベッドの上で膝を抱え縮こまっている骸の姿があった。
骸の周囲には綱吉の写真と服が散乱しているという惨状が展開されており、たじろいだ綱吉は思わず一歩後退する。

「えっと、骸……さん?」
「………綱吉くん」

きのこでも生えてきそうな程ジメッとした雰囲気を漂わせながら骸が綱吉をジーッと見つめる。
背後に「僕は悲しいです」という文字が見えた気がした綱吉は、更に一歩後退した。

「ど、どうしたのかな……?」
「……僕を放っておいて何してたんですか?」
「いや、オレ、忘年会だって言ってたよね?」
「昨日は?」
「昨日はゼミの忘年会」
「一昨日は?」
「一昨日はバイト仲間との忘年会」
「その前は?」
「大学のクラスメートと」
「一昨日はクリスマスでした!その前はイブ!!」

綱吉の言葉に骸がキッと顔をあげ、恨みがましい顔で睨み付ける。
その勢いに押されてヒィッと声を上げながら綱吉が更に一歩後退する。

「付き合うようになって初めてのクリスマスだったのに…メール1本で僕を放置とは良い度胸です」
「いや、その……産まれてこの方そういう、恋人と過ごすようなクリスマスを過ごした事がなかったので…失念してました」
「君にとってクリスマスとはそれくらいの存在なんですか…!?」
「あ、うん、……正直言ってケーキ食べる日くらいの認識でした…」

素直に肯定した綱吉を射貫かんばかりの眼光で骸が威圧する。
ビクッと肩を震わせた綱吉は、自分を守れるものはないかと辺りを見渡す。

「……ちなみにお聞きします。4日間、ずっと一緒に過ごした人なんていませんよね!?」
「んー……そういえば山本はずっといたなぁ」

黙って居れば良い物を綱吉は馬鹿正直にクラスメートでゼミも同じで更にバイト先も同じ親友の名前を出してしまう。
その名前に骸がカッと目を見開いた。

「そうです、山本武!彼は君のなんなんですか!?いつでも僕よりも君と一緒に居て…!」
「何って友達だけど…?」
「そう思ってるのは君だけです!僕には分かります!あれは君の事を狙っています!!」
「骸」

骸の勢いに押されていた綱吉だったが親友の事を貶されて、スッと目を据わらせ骸の目の前まで歩み寄るとペちっと頬を軽く叩いた。
そしてベッドに膝をついて目線を合わせる。

「山本のこと悪く言わないで」

山本を庇う綱吉の言葉に骸はショックそうな表情を浮かべる。
それを無視して綱吉は言葉を続ける。

「大切な人に大切な友人を悪く言われるのは嫌だ。それに人の悪口を言うって事は自分を貶める事なんだよ?」

いくら骸でも、オレの大切な骸を貶める事は許さないよ。
そう言いながら驚きで目を見開いている骸を真剣な目で覗き込む。

「そんなに骸がクリスマスを大切だと思ってると知らなかったから、ごめん。明日からは飲み会より骸を優先するから許して」
「は、はい…」
「だから、仲直りしよう」
「は、はい…」

ニコッと笑う綱吉につられて骸は頷く。
その骸の様子を見て安堵の表情を浮かべた綱吉は…そのままベッドに倒れ込んだ。

「え、綱吉くん!?」

驚いた骸が綱吉を揺さぶると「うぅーん……むにゃむにゃ……」と寝ぼけた声があがる。

「……どこから、寝ぼけてたんですか…?」

すっかり毒気を抜かれ怒りなど忘れてしまった骸はしばし考えた末、ベッドに散乱する写真と服をそそくさとまとめてベッドの下に落とし綱吉に毛布をかけつつその隣に自分も潜り込む。
そしてギュッと小さな身体を抱きしめ、暖かい体温を感じながらクフフと微笑んだ。

「クリスマスはまた来年もありますから、許しますよ」

(2009/12/28)
寝オチで失礼!最近の可愛い骸を見ていると精神的ツナ骸にわくわくします。