続・酒が沈むと言葉が浮かぶ


「そういえば骸、オマエいつになったら告白してくるの?」

酒の席で骸がグラス片手にカウンターに一人座っている綱吉の隣に腰掛けると、ほどよく酔っている様子の綱吉がへらへらとした笑みを浮かべながらそう言った。
その言葉に骸は口にしていたカクテルを吹き出しそうになった。

「告白、とは…?」
「えー、だって前にオマエ、オレのこと好きだって言ってたじゃん」

にこーっと悪意のない笑顔で綱吉は骸に笑いかける。
そんな綱吉の笑顔を前にして骸は内心で冷や汗を流す。

「いつ、誰が、そんな事を」
「2年くらい前?酔ったオマエが告白してくれたよ〜。オレたち付き合ってるんだろ?」
「……君にその自覚があったとは驚きです」
「オレだってオマエに言われるまではそういう意味の「付き合い」だとは思ってなかったよ」
「でも今もそんな意味があるような素振りはありませんよね?」
「うん。骸があまりにもツン?だから、あ、これ千種さんから聞いた言葉なんだけどね、面白くて黙ってみてたんだけどさー」

締まり無い笑顔を浮かべる綱吉に骸は頭を抱えると同時に、どうでもよい事を吹き込んだ自分の部下に憤りを感じた。

「オマエが本当に何事もなかったかのように接してくるから酔いすぎて見た幻覚だったのかと思うようになってきたんだよねー。で、せっかくだから本人目の前に居るし聞いてみようかな、と。で、どうなの?」
「どう、と言われましてもね…」
「オレは結構オマエの事好きだよ。あ、もちろんそう言う意味でな」

綱吉の突然の言葉に骸は柄にもなく動揺する。
骸が手に持つカクテルグラスが小刻みに揺れる。

「全然意識とかしたことなかったんだけどさ。オマエに言われてから考えてみたら、あの時動揺したのって結局は断る理由が思いつかなかったから困ったんだよなって思ってさ」
「そ、れは…」
「だからいつ告白してくるんだろ?してくれたらたぶん受け入れちゃうよな、と思ってたのにオマエ何も言ってこないんだもんな」

えへへへと綱吉は笑う。
少しアルコールが入った状態の骸はこれは自分の脳が見せている都合の良い夢なのではないだろうか、と考える。
しかし同時に、夢にしては全てがリアル過ぎるとも思う。

「僕の言葉を聞いて、君は後悔しないのですか?」
「うーん、2年間考えてみてありかなと思えたから、今更後悔はしないんじゃないかな?」
「……それでは、言いますよ?無かったことにしないでくださいね」

骸はそういうとグラスをカウンターに置き、立ち上がると綱吉の正面に移動する。
綱吉も若干緊張した面持ちで座り直す。
骸の腕が綱吉を囲むように、カウンターに置かれる。

「綱吉くん。僕は君のことが好きです」
「うん」
「愛しています」
「うん」
「出来れば本来の意味でお付き合いさせていただきたいのですが」
「うんうん」
「……綱吉くん?」

綱吉の返答が若干変だ、と感じた骸は綱吉の耳元から顔を上げて顔を正面から覗き込み、絶句した。

「ね、寝てる……」

どのタイミングからかは分からないが酔っぱらった綱吉は気持ち良さそうにくーくーと寝息を立て惰眠を貪っていた。
「むくろぉー…」と寝言で言っている綱吉の姿に骸は頭を抱えてその場にしゃがみこむのだった。

(僕の一世一代の告白が…!)

(2009.9.14)
骸さまが不憫でなりません…途中まではハッピーエンドのはずだったのに……