晴れた日、2人で


大学の授業もなく、珍しくアルバイトも入っていない日曜日。
予定よりも早く目が覚めてしまった骸は何をしようかとしばし迷ったが、カーテンを開けた窓の向こうの天気が溜まりにたまった洗濯物を片付けるのにちょうど良いものだったので、午前中から洗濯機をガンガン回した。
そして独り暮らし用のマンションらしい狭いベランダにそれを綺麗に並べて干していく。
ふと骸が頭上を見上げると、雲ひとつ無い気持ちの良い青空が広がっていた。
ポカポカの暖かい陽気があまりにも気持ちよく感じ、骸は洗濯物を干す手を思わず休めた。
ほわほわした心地よい空気が骸の脳裏に恋人の笑顔を思い浮かばせる。
その事に気が付いた途端、骸はどうしても綱吉の声が聴きたくて仕方がなくなった。
しばらく考えた骸は、最初っから我慢する気なんてさらっさらなかったのだが、ジーンズの後ろポケットから携帯を取り出しリダイヤルボタンを押した。

1回。2回。

コール音が鳴り響く。

3回。4回。

(さすがにそろそろ出る頃でしょうか?)
と骸は思いながらも辛抱強く待ち続ける。
綱吉は朝に滅法弱い事は大学で知り合った当初からの周知の事実である。

5回。6回。

『…むくろ、どうしたの?』

7回目のコールの途中で通話状態となり、骸の耳に少し高めの優しい声が響いた。
少し眠そうな、綱吉の声。

「良い天気だなぁと思ったら何だか綱吉くんの声が聴きたくなったので」
『ふ〜ん。今日いい天気なんだぁ?』

少し寝ぼけた綱吉の声に混じってかすかに布の持ち上がる音が骸の耳に聞こえた。
そしてそれに続く床に足をつける微かな音とそれに続くペタペタと床を歩む音。

(…カーテンまでは綱吉くんの足で、4歩半。)

ジャっとカーテンを開く音がした。

『あっ、ホントだ。いい天気だね!』
「やっぱり寝てたんですね」
『うん。』

想像通り骸からの電話を受け取るまで寝ていた綱吉に対し、思わず笑みがこぼれる。

(今、綱吉くんは同じ空を今見上げてる)

そう思った途端、骸の中にこそばゆい気持ちがこみ上げてきて無償に綱吉に逢いたくて仕方なくなってしまった。

「今日は洗濯日和ですよ、とても気持ちいい天気です」
『だね…でも面倒だから骸、洗濯しに来てよ』

本音半分、口実半分。
そんな綱吉の誘い文句に知らずに骸に笑みがこぼれる。

「仕方ないですね…もう少しで干し終わるので、終わったら行って差し上げますよ」
『ありがとう!骸は朝ごはんってもう食べた?』
「あぁ…そういえばまだ、ですね」
『じゃあ、朝ごはんは用意して待ってる』
「それは楽しみですね。では後ほど」
『じゃあ、また後で』

クスクス笑いながら綱吉が答え、通話は途絶えた。

「さてと。シーツを干したら、出かけますか」

綱吉を彷彿とさせるどこまでも広がる青空を見上げて、骸は呟いた。

(2009.5.10)
普通のが書きたくなったのですが…普通の2人って気持ち悪い!笑