ISOLATION -前哨戦-


久しぶりに早く仕事を片付けられたし、今日はもうゆっくり寝るだけだ!
とシャワーを浴びて体温が上昇して気持ちよくなっていた綱吉は、半分以上眠りの世界へと旅立ちかけながら扉を開け、目を疑った。

「え、もうオレ夢見てる!?」
「馬鹿なのは相変わらずだね」

ソファに悠然と腰掛けている黒衣をまとった雲雀が表情一つ変える事無く言い放つ。

「あ、あれ!?雲雀さんこっち来る予定ってもう少し先でしたよね!?」
「予定ではね。君に伝えないといけない事があるから来たよ……事は想像以上に緊急を要するようだ」
「…入江正一とは無事に接触出来ましたか?」

お風呂上りの平和ボケした表情から一転し、綱吉がボンゴレのボスの表情を見せる。
そのスイッチが切り替わる様を見て雲雀は楽しそうに微笑んだ。

「あぁ。だからこうして資料を持って僕はここに来た」
「雲雀さんの目から見て彼は信用出来る男でしたか?」
「愚問だね。君は彼を信頼したからこそ、僕を巻き込むことにした。それが答えだ」
「…そうですね」
「これが彼から預かった内部機密資料。こっちが彼が考えた作戦の詳細」
「目を通された感想は?」
「面白い、ね。やってみる価値はあると思うよ」
「そうですか」

雲雀の目の前のローテーブルに山積みになっている資料を一瞥した綱吉は、一つ深く呼吸をした。

「着替えてきます。こんな格好じゃ気持ちの切り替えが上手く出来ません」
「そうだね。じゃあ僕は気持ち悪いからシャワーを借りるよ」
「どうぞ。…着替えは?」
「持ってきてる」

綱吉は目を瞑り、もう一つ深い呼吸をする。

「雲雀さん、お帰りなさい。そしてありがとうございます」
「別に君のためじゃない。並盛の秩序が乱されるのが嫌だから協力するだけだ」
「……相変わらず並盛大好きなんですね」

先ほどまでの表情から一転し、ほにゃっと柔らかく綱吉が笑う。
それと同時に雲雀のまとう空気も一気に柔らかく変化する。

「ところで君は人を働かせておきながら暢気にお風呂になんて入ってるんだね」
「いや、だって、今日雲雀さんが来るなんて思ってませんでしたから!不可抗力です!」

あたふたする綱吉を尻目に立ち上がった雲雀は、半分濡れ元気がなくなっている茶色い髪を優しく撫でた。

「ちゃんと乾かさないと風邪をひくよ」
「…はい」
「シャワー借りるよ」
「…どうぞ」

10年前より格段に大人になった雲雀に感心しながら綱吉はその背中を見送る。

「さてと…スーツに着替えるかな」

(その前に髪の毛乾かすか)
猫のように伸びをしながら綱吉は一つ欠伸をした。

(2009.03.29)
思いの外雲雀が大人になりました!そして骸以外は待遇いい……?