悲しいお知らせです


「六道って本当にツナの事好きなのなー」

守護者の待機所、として当然のように定着してしまったボンゴレ10代目の執務室の豪華なソファ。
そこには雨の守護者と霧の守護者という珍しい組み合わせが向かい合って座っていた。
呼び出した張本人の綱吉は仕事が立込んでいるらしく(恐らくさぼっていて溜め込んだ挙句にアルコバレーノに締め上げられたのだろう、と骸は予想している)、そんな2人の守護者の方には目も向けず必死に書類と格闘している。
(10年の月日が流れても人の根源的部分はそうそう変われないというよい見本だ。)

そんな事に思いを張り巡らし目前の雨の守護者には全く意識を向けていなかったところに、先の言葉を投げかけられた骸は言葉の意味を飲み込むのにワンテンポ遅れてしまった。

「は?」
「目がずっとツナ追ってる」
「なっ」
「俺は六道とツナなら良いと思うのな」
「いきなり何を……君は忠犬の肩を持つと思っていましたよ」

あっけらかんと言い放つ目の前の人物に皮肉を込めて言葉を返す。
しかし、相手は待ったく答えていない様子で更に明るい口調で言葉を続ける。

「獄寺はダメなのなー。あいつは何よりもツナが最優先で最重要だから、きっといつか自分の命を粗末にしてツナを泣かすから」

だからダメなのなー。
守護者にしてボンゴレ10代目の唯一の親友、というポジションに納まっている男はその親友とよく似た見る者に安堵感を与える人好きする笑顔で言い放つ。
それが骸には意外だった。
(山本武は獄寺隼人のことをあまりよく思っていなかった、のでしょうか?)

「獄寺のツナを守りたいって思う気持ちは分かるんだけど、それってツナが望んでいる形じゃないから、ダメ。」
「そう、ですか?何よりも主を最優先するのは守護者としては当然の責務だと思いますけど?」
「それはそうなんだけど…なんて言うんだろ。ツナは一方的に守られる事を嫌ってるから…
その点六道なら、ツナを助けてなおかつ自分も生きようとするだろ?」
「買被りすぎですよ」
「そうでもないと思うけど?オマエは絶対にツナを一人にしない」

まぁ、自分が死ぬときは道連れにしそうでそれはそれで厄介だけどなー。
そんな雨の守護者の独り言をききながら骸は言われたことを反芻する。
そんな風に目の前の人物には自分が見えている、のか。

「六道はツナが1番だけど、他にも守るべき大切なものがあるから、大丈夫」

ツナは自分だけを生きる糧にされるの嫌がるのなー。
そう笑う雨の守護者を見て骸は哂う。

「僕はボンゴレを1番だと思ったことないし、守るべきものなんて何もありませんよ。
…自分の命すら煩わしいくらいだ」
「オマエはまた、そういう事言う」

いつの間にか骸のすぐ横までやってきていた綱吉が所在無さ気に佇みながら、困ったような微笑を浮かべていた。

「何度言ったら分かるんだよ。オレのことはおいておくとして…
オマエはクロームも千種さんも犬さんも守るべきものとして傍に置いている、だろ?」

守るものはあるんだよ。そしてきちんと守ってるよ、オマエは。
それにオマエの命はオマエの守っている人たちにとって掛替えのない大切なものなんだからそんな言い方するなよ。
大空の名に相応しい全てを包み込むような優しい声音で綱吉が言う。

「その、僕が守っている人の中にボンゴレは含まれているんですか?」
「入ってるよ」

だから、オマエが自分の命投げ捨てようとしたらオレは本気で怒るからな。
そんな綱吉の言葉を心地よく受け止める自分に、骸は驚く。

「で、山本は何の話をしてたのかなー?」
「俺はただ単にツナに幸せになってもらいたいだけなのな」

それなら骸をけしかけるとか本当にやめてくれないかなー!?
気の置けない親友にそんな言葉を投げかける綱吉を見つめる自分の視線が自然と優しいものになっていた事に骸が気づくのはもう少し後のこと。

(僕は君に恋してしまった)

(2009.02.04)
タイトルお借りしました⇒テオ//Theobald habla su sueno
山本武最強説。実は密かに山本武が好きです。