5.いや、褒めてないよ。罵ってんだよ。



「……噂の出所はオマエだろ」

骸の顔を呆れた顔で見た綱吉はため息混じりに呟いた。
最近ボンゴレ内で急速に広がっているとある噂。
噂の渦中の人物が噂の出所である事を確信した綱吉は確認のためにその人物の元を訪れ開口一番に断言した。

「人の所にきて挨拶もなしに何ですか?これだから」
「マフィアは、って言葉は聞き飽きたから」
「そう、ですか」

先手を打って言葉を止めた綱吉を骸は愉快そうに見返す。
人を食ったような骸の表情に綱吉はイラッとする。

「言いがかりは辞めていただきたいのですが、噂とはなんですか?」
「しらばっくれるなよ!」
「さぁ?何の事かさっぱり分かりません」

どう見ても綱吉の言いたい事が分かっている様子で骸はクツクツと笑いながら首を傾げる。
骸の態度に綱吉は余計にイライラを募らせる。

「裏は取ってるんだよ!」
「そう言われましても…心当たりがありませんので」

困りましたねぇ。とわざとらしく肩を竦めた骸についに綱吉がキレた。

「オマエ、いい加減にしろよ!あることないこと言いふらしやがって…!」
「とにかく落ち着いてください」
「落ち着いてられるか!骸の馬鹿!アホ!ハゲ!」
「……ハゲは余計かと」

柳眉を顰めながら言う骸に「え?反論するのそこだけなの?」と綱吉は心の中で突っ込みをいれた。
そんな綱吉の胸中はお構いなしに骸は言う。

「僕は事実しか言ってませんよ」
「……言ってることは認めるんだな」
「そうですね、認めましょう。ただ僕が言っているのは『あることあること』ですけどね」
「………ハゲ」
「ですからハゲていません」

相変わらず反論のポイントがずれている骸に半分諦めた綱吉は力なく頷く。

「ボンゴレデーチモはお見合い話を片っ端から断ってる。嘘ですか?」
「…いえ、事実です」
「ボンゴレデーチモには実は恋人がいる。嘘ですか?」
「……いえ、事実です」
「ボンゴレデーチモの恋は世間一般的に表沙汰にしにくい。嘘ですか?」
「………いえ、事実、です」
「ボンゴレデーチモはゲイだ。嘘ですか?」
「ゲイじゃないよ!!!」
「では、言い方を変えまして。ボンゴレデーチモのお相手は男である。嘘ですか?」
「……はいはい、事実ですよ!」
「ボンゴレデーチモの恋人は霧の守護者である。嘘ですか?」
「はいはいそうですね、オレの恋人は霧の守護者さんですよ!男が相手ですよ!」
「ほら、僕は事実しか言ってないじゃないですか」
「だーかーらー!!それを公表しようとするオマエの頭の中身が心配なんだよ!!!!!」

はぁはぁと肩で息をする綱吉を骸はスッと目を細めて楽しそうに見つめる。
声を荒げた事である程度落ち着いた綱吉がガクッと首を項垂れた。

「オマエの事は常々理解出来ないと思ってたけど今は本当に分からないよ……」
「おやおや、恋人の事も分からないんですか?」
「うん、もうオマエの事は分からなくてもいいかなと思うし分かりたくないかもしれない……」
「本当に綱吉くんは照れ屋なんですから」

骸の斜め上行く発言に綱吉はため息をついた。

「なんでオレ、こんな意味不明な奴と付き合ってるんだろうな……」
「僕が好きだから、じゃないんですか?」
「あー……もう自信はないよ」

ため息混じりの綱吉の発言に骸は面白くなさそうな表情になる。

「一つだけ、オレにも理解出来るように教えて」
「いいですよ?」
「なんでオマエあんな噂流したの?」
「そんなの決まってるじゃないですか。可愛い綱吉くんは僕の恋人だと世界中に知らしめるためですよ」

放っておくと君は変な男ばかりほいほいと引き寄せるから心配なんです…!
拳を握りしめて熱弁する骸の姿に綱吉は両膝から崩れ落ち、呟いた。

「オマエが恋人でオレは本当に幸せものだよ……」
「おやおや。今頃、僕の魅力を再確認しましたか?」

(褒めてないって気付けよ、馬鹿骸!)

(2010/05/17)
どこまでもダメな子骸くん。