3.その人に手を出したこと、後悔させてやる


※話の都合上オリジナルの第三者が出てきます。



(あ、まずい。)

綱吉がそう思った瞬間に、意識は暗転していた。






カシャン、という小さな金属音で綱吉は意識を覚醒させた。
靄のかかった頭で現状を把握しようと一つ一つ思い返す。

(さっきまで、新しく同盟に迎える予定のファミリーのボスと食事をしていた)
(出されたワインに口を付けた途端、舌先に違和感を覚えて意識が暗転)
(現状、さっきと違う部屋で…恐らくベッドに転がされてる)
(手首には手錠)
(状況は至ってよろしくない)

そこまで考えて綱吉は深い溜息をついた。
まず脳裏に浮かんで来たのは半泣き状態の、右腕。
『あそこのボスはショタコンという噂があるから一人で行かれるのは危険だと申し上げたのに…』
(24歳はショタコンの範疇に入らないって怒ってごめんね…)

次に脳裏に浮かんだのは、黒衣の家庭教師。
『お前、簡単に薬なんて盛られてるんじゃねー。帰ってきたらねっちょりお説教するぞ』
(無事帰れたらお説教でもなんても受けさせていただきます)

次に脳裏に浮かんだの、は。

「起きましたか、ドン・ボンゴレ」
「や、めたほう、が、いいです、よ」

薬のせいか上手く呂律が回らない綱吉は一生懸命言葉を吐き出す。

「今は私が全ての主導権を握っていると、お気付きですか」
「辞めた方が、いい、です、よ」

先ほどよりは動くようになった口で、綱吉は同じ言葉を綴った。
そんな綱吉にお構いなしで、目の前の人物は綱吉に近づいてくる。
脳裏に浮かんだ人物が綺麗に笑みを浮かべる。

「うちに、は…地獄の番人よりも恐ろしいのが、いる、んです」
「ここには誰も来ることが出来ませんよ。さぁ、楽しみましょうか」

ギシッとベッドが軋む音がして、別の意味で綱吉は青くなる。
勿論目の前の人物の安否を思って、だ。

「本当に近くで見れば見るほど、ドン・ボンゴレは可愛いですね」

がさつく指先で頬を撫でられ、綱吉の全身に鳥肌が立つ。

「忠告はしましたから、ね」

脳裏の人物が、人形めいた綺麗な顔を、綺麗に歪めたのと同時に。
轟音と共にドアが蹴破られる。

「おやおや…死んだ方がマシだと思わせて差し上げますよ」

そこには一見すると柔和な、しかし紅と蒼の瞳は感情を一切排除しているため見るものに底知れない恐怖を与える、微笑を浮かべたボンゴレ霧の守護者が佇んでいた。

絶対来ると信じてた。

(2009.4.6)
骸はツナのピンチには誰よりも早く駆けつけると信じています。多分発信機が…。