2.あなたのことは全部知っています


「それではお互いのファミリーの発展を祈って」
「よろしくお願いします」

数人の部下を従えて部屋から出て行く同盟ファミリーのボスを見送った綱吉は周囲に気づかれないよう、ふぅと小さく息を吐いた。

「10代目」

タイミング良く声をかけてきた獄寺にため息がバレたのか、とビクッとする。
しかし続いた言葉は綱吉を咎めるものではなかった。

「この後のご予定ですが…」
「あ。うん。何かあったっけ?」
「えぇ。1時間後に…キャバッローネが」
「ディーノさん来るの今日だったっけ?」
「キャバッローネでしたら断っても問題はないですね」

綱吉と獄寺の会話を少し離れた場所で聞いていた骸が突如割り込んでくる。

「…骸?」
「その後の予定は?獄寺隼人、君が処理出来る範囲ですか?」
「はぁ?」
「この後の予定はボンゴレが居ないと駄目なのですかと聞いているんです」
「ちょっと、骸何言ってるんだよ!?」
「君は少し黙ってなさい」

骸に一瞥された綱吉は一旦黙ることにする。
骸がおかしいのはいつもの事だ、と。

「六道、お前何が言いたいんだよ?」
「おや?気づいてないのですか?」

ドア近くに居た骸が綱吉の傍に歩み寄ってくる。

「だってこの人……すごい熱、ですよ?」
「え?10代目?」

(完璧に隠せてたと思ってたの、に)
バレた、と思った瞬間気が抜けた綱吉はふらっと自分の体が揺れたことに気づいた。
(あ。倒れる)

「10代目!」

叫ぶ獄寺の声がどことなく遠く感じる。
床との衝突を予感して身を硬くした綱吉の予想に反してふわっと何かに抱えられた。
そしてほぼ同時におでこに冷やりとした感触を感じた。

「何で、お前、気づくんだよ」

綱吉を支え、その額にご丁寧に手袋を取った生身の手を当てている骸を軽く睨みながら言うと、骸はどことなく愉快そうに微笑みながら応えた。

「あなたのことなら全て分かりますよ」
「………ストーカーかよ……」


悔しいから冷たい手のひらが心地よいことは伝えない。

(2009.4.1)
10年後色々と取り繕うのが上手くなったツナの嘘を骸だけが見破られるととても、滾ります。