■6927/現代/デパートでいちゃこく二人
■6927/25歳と14歳/骸様復活をドラマ仕立てで
■6927/25歳と14歳/未来編邂逅を妄想
■69→27+黒曜っ子/現代/ヨーヨーの世界選手権かっこいいよね!ていう話
■千種と綱吉/現代/ヨーヨーの世界選手権かっこいいよね!ていう話
■フランとスクアーロ/10年後/スクアーロのピンチを乗り切れ!な妄想
------------------------------------------
「気に入ったのがあってよかったね」
「そうですね」
「それにしても…オマエ買いすぎなんじゃないの?」
綱吉は服が欲しいという骸に付き合って並盛駅前のデパートに来たが、着いて最初に入った店で「これでいいです」と骸は早々に目的のものを購入したため、二人はその後はデパート内をふらふらと見て歩いていた。
そして骸は「これは君に似合いそうですね」と何故か買う予定のない綱吉に洋服を見繕い、「似合いますね」と言っては勝手にお会計をして紙袋を増やし続けていた。
綱吉は最初は抵抗をしていたが言うだけ無駄だと悟り、骸の好きなようにさせている。
「そうですか?僕のはこの1点ですが」
「だから、オレにって言って買ってくれてるの、おかしい量だよね!?」
「あぁ…綱吉くんは可愛いから何着ても似合いますよね」
「…お願いだから会話しようよ……」
フーッとため息をついた綱吉は上りのエスカレーターに乗った。
一段後ろに骸が乗っている。
「綱吉くん、綱吉くん」
「ん?何?」
名前を呼ばれた綱吉が振り返った瞬間、身長差のせいでほぼ同じ位置に顔があった骸がそのまま軽く綱吉の唇に自分の唇を重ねた。
「お、おま…っ!」
「ほー。階段1段分くらいで身長差がなくなるんですね」
顔を真っ赤にしキョロキョロと周囲を見渡し人に見られていないかを確認している綱吉とは対照的に骸は至って普通の表情で「なるほど。この段差があれば綱吉くんからキスしてもらえるんですね」と感慨深げに呟いていた。
(2009.8.16)
------------------------------------------
『それはどうでしょうねえ。
僕に限って』
『……骸様!』
全員の視線はカメラに捉えられている男に固定されている。
誰もが息を殺し、固唾をのむ。
そこに響いたカットの声に、全員が止めていた息をフーッと吐き出した。
そして。
「お帰り!!」
「復活おめでとう!」
「長かったな!」
その場にいた出演者全員がその男に祝福の言葉を投げかけた。
中央に君臨する男は、整いすぎた綺麗な顔に綺麗な笑みを浮かべる。
「ありがとうございます」
花束が出てきそうな勢いのスタジオの中、周囲に気付かれぬよう綱吉はその輪から外れソーッと隅へと移動する。
そして壁にもたれ掛かると目をつぶり、ため息をついた。
「どうしたんですか、綱吉くん?」
そんな綱吉の背後、しかも真後ろに近い位置から、輪の中央に居たはずの本日主役の男に声をかけられた綱吉は大げさなほど肩を震わせた。
「綱吉くん…?」
振り向かない綱吉の様子におかしなものを感じた男が再度声をかけながら、肩に手を置くとさらにその小さい体は固さを持ったまま震える。
「……本当にどうしたんですか?」
いっこうにこちらを向いてくれない綱吉に、男は心配と少しのいらだちを覚える。
そんな男の様子に気がついた綱吉はさらに全身を強張らせる。
「綱吉くん。君は、お祝いしてくれないんですか…?」
「………だから」
「え?」
綱吉がなにやら言葉を漏らすが、男の耳には聞こえない。
「もう一度お願いします」
「〜〜〜〜っ!だって10年後のオマエ、カッコよすぎるんだよ!!」
うわー、もうどうしよう!直視出来ないよ!何その色気!反則だよ!
顔を真っ赤にしながらじたばたする綱吉の可愛らしさにノックアウトされた男は背後から覆い被さるように華奢な体をぎゅっと抱きしめた。
「可愛いこと言わないでください!」
「うーだってー…」
どうみてもいちゃついている恋人たちにしか見えない二人のやりとりを、スタジオに居た優しい人々は見て見ぬふりをしてくれた。
「うぅ10代目ぇ…」
「なーなー獄寺、俺たちも10年後の姿に戻らね?」
(2009.8.31)
------------------------------------------
「僕に限って」
「!?」
「……骸様」
綱吉は突如目の前に現れた男の姿に目を見張った。
髪は伸びているが。
服装は見知らぬ物であるが。
体は大きくなっているが。
あの声は。髪型は。雰囲気は。
「……む、くろ?」
思わず口からこぼれた綱吉の言葉に、男はゆっくりと振り向いた。
そして綱吉の記憶にはない、柔和なほほえみを浮かべる。
「お久しぶりです、綱吉くん」
「むくろ…」
「色々とお話したいところですが、今は白蘭の足止めをし君たちが逃げることが先決です」
ですから、残念ですがまたしばしお別れですね。
優しい声音でそう言うと男は綱吉に背を向け、白蘭と対峙する。
「骸…!」
綱吉の声にひらひらと手を振ると、三叉の槍を持ち直し、言った。
「早くお行きなさい」
「でも…!」
「大丈夫です。また後でお会いしましょう、綱吉くん」
綱吉の背後から「早くしましょう!」「急いで!」と声がかかる。
綱吉はそんな声に「ごめん」と心の中で謝ると、目の前で揺れる尻尾の様な髪を引っ張った。
「どうしましっ」
綱吉が振り向いた男の首にぶら下がるネクタイを引っ張ると思いっきり背伸びをして頭突きのような勢いで唇を奪ったため、男の言葉は途中で途切れた。
「絶対、後で、逢いに来いよ!心配したんだからな…!」
「…クフフフフ、相変わらず君は大胆ですね」
「心配させたオマエが悪い!」
「では、続きは後ほど」
男は綱吉の唇に軽く自分の唇を触れあわせニッコリ微笑んだ。
自分のした事を今更ながらに実感した綱吉は沸騰するかのような勢いで顔を真っ赤にし、落ち着きなく辺りをウロウロする。
「ねぇ、骸くん。そろそろ僕攻撃してもいいかな?」
遠慮がちに吐き出された白蘭の言葉は、クロームの強い眼光に圧倒され、もみ消された。
(2009.9.5)
------------------------------------------
【リアル編】
「……千種は何をしているんですか?」
「骸さま」
部屋に入ってきた骸は部屋の片隅で両手にヨーヨーを持って何かを練習している千種を見ながらクロームにそう問いかけた。
「あんなにアクティブな千種は珍しいですよね」
「ボスが…」
「綱吉くんが関係しているのですか!?」
「うさぎちゃんが動画でヨーヨー見たらしいんれす」
「何ですか、それは?」
「なんかー、ヨーヨーの世界大会があったみたいれす」
「ボスが、ヨーヨーの演技を動画で見て千種に『かっこよかったんですよ!千種さんなら出来るんじゃないですか?』って言ってきたらしいです」
「らからあのめがね、うさぎちゃんに見せてあげるって約束したらしいれす」
「……なるほど」
骸がそう呟くと同時に、ヴゥンという音がする。
それに驚いた犬とクロームが骸の目を凝視し、驚くと同時に諦めに似たため息を付きながら目配せをしあう。
「骸さん、目の数字が二になってるびょん」
「骸さま、ボスが大好きだから」
そんな部下二人に気付かない骸はそのまま千種に歩み寄る。
「千種」
「……はい」
「ヨーヨーの技は習得出来ましたか?」
「……それなりに」
「では、それは僕が綱吉くんに見せてきますね」
「………分かりました」
何かを言おうとした千種だったが、面倒くささの方が勝ったのかため息をつきながら頷く。
そして大人しく手にしていたヨーヨーを骸に手渡した。
「ありがとうございます。それではちょっと出掛けてきます」
「あ……」
千種が何か言う前に骸は部屋を出て行ってしまう。
「あー……」と呟いた千種は「めんどい」と言いながら少し下がってきている眼鏡を人差し指で押し上げため息を付いた。
「千種、どうしたの?」
「ボンゴレ、たぶん今ここに向かってるからすれ違う」
「……すれ違っちゃうね」
3人はお互いに牽制し合うように顔を見合わせ、同じタイミングでため息を付いた。
(2009.9.21)
------------------------------------------
【バーチャル編】
27:こんばんわー
柿:ひさしぶり
27:そういえばヨーヨーって世界大会があるんですね!
柿:ある
27:動画見たんですがあれすごいですねー。ちょっとヨーヨー見直しました
柿:……
27:あれは立派なスポーツですよね。そういえば千種さんの武器ってヨーヨーだけど、ああいうの出来たりするんですか?
柿:たぶん
27:本当ですか!?今度見せてください!
柿:分かった
27:そっちって遊びに行っても大丈夫ですか?出来れば骸がいないタイミングだと嬉しいんですけど…
柿:遊びに来てもいいけど、骸さまはいつもいる
27:やっぱりそうですよね
柿:今週の土曜日に来ればいい
27:分かりましたー!手土産持っていきますね!
柿:喜ぶと思う
(2009.9.21)
------------------------------------------
「……王子(仮)にしても作戦隊長にしてもボスにしても、うちの人たちって人使い荒すぎですー」
「……」
「有幻覚作りながら、本人隠すのって結構体力使うんですよー」
「あぁ、助かったよ。ありがとな」
ぜぇぜぇと乱れる呼吸を整えながらスクアーロは目の前のカエルの被り物に言葉を投げかけた。
「軽いですー!全然ありがたみを感じませんー。そもそもミーが間に合わなかったらどうする気だったんですか?」
「オマエは優秀だから来てくれると思ってたんだぜぇ」
「そんな信頼嬉しくないですー」
いつまであいつにばれずにいられるか分からないんですから少しでも遠くに逃げますよー。
減らず口を聞きつつも、負傷したスクアーロを庇いながら逃走経路を確保する優秀な部下にスクアーロは心の中で感謝する。
「前回は先輩の体中から血を噴かせてぐっちゃぐちゃにしてみたんで、今回はばっさりと腕を切り落としてみましたー。サービスですー」
「……まったくサービスになってないと思うぞぉ!」
方向性の違う張り切り方をするフランに思わずスクアーロは突っ込みを入れてしまった。
(2009.9.21)