log02(2009.5〜2009.7)


6927+千種/現代/テーマ「可哀想な骸さまとゲーマーな二人」
69→←27/未来編後現代/10年後骸の魅力に参ってしまった少年綱吉くんの話
27+守護者/未来編後現代/アニメを見ての妄想。ドラマ仕立て
6927/大学生パラレル元ネタ/textに上がっているものの別エンドVer
6927+フラン/10年後/骸がフランくんの師匠という妄想話/ただフランくんが書きたかっただけ
69→27+髑髏/10年後/女の子は大変なのです
6927/未来編後現代/10年後骸の魅力に参ってしまった少年綱吉くんの話・その2
6927+ツナ/10年後くらいパラレル/友人一家実録
69→27/現代/皆既日食ネタ/完結していない

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「なんか…オマエとはよくエンカウントするよな…」


「と言われたんですが、『エンカウント』って何ですか?」
「…骸さま、またボンゴレの所に行ったんですか?」
「偶然ですよ!」
「…はい」
「で、エンカウントとは?どうせゲームか何かの用語なのでしょ?」
「えぇ…………会う、って意味です」
「今の沈黙は?」
「特に意味はありません」
「で?」
「それだけです。」
「それだけですか!?もっと、千種の好きなシミュレーションに出てくるような意味はないんですか!?」
「残念ですがありません。RPG用語です」
「そうですか…」


めがね 『骸さまがまた迷惑をかけたみたいで』
マグロ 『いえ、大丈夫です』
めがね 『すまない』
マグロ 『千種さんは悪くありませんので…気にしないでください』
めがね 『それにしてもエンカウント、とは言い得て妙だな』
マグロ 『ですよね!我ながら上手い例えだと思いました』
めがね 『…強制エンカウントですまない……』
マグロ 『いえ……』

(2009.5.3)
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綱吉は学生鞄を胸元で抱きしめながら、目の前で嬉々として得物を振り回して戦う骸の後姿をぼんやり眺めていた。
踊るかのように軽やかにステップを踏むたび、制服と中に着ている迷彩のTシャツがはためき、その下からやたらと細い(とはいえ綱吉よりは太いが)腰がちらちらと見え隠れしている。
その姿は、男に対して褒め言葉になるかは謎だが、やけに艶かしい。
自分の体躯よりも長い得物を易々と振り回す長い腕。
腰から下の比率がおかしいんじゃないか?と思うほど長い足。
横から見た時に驚くほど薄い体。
そして、細い腰。

(あー……オレって面食いなのかと思ってたけど)

「身体が好みだったんだな」
「ちょっと、なんの話しですか?」

いつの間にか綱吉の周囲には立っている人物は骸以外居なくなっていた。
そして当の骸は手にしていた得物を一振りすると(赤い液体が飛んだ気がするが、見なかった事にする)手品のように、消した。

「で、誰の身体が好みなんですか?」
「いえ、こっちの話しなんで気にしないでください」
「聞こえてしまったんですから、気になるに決まっています」

いいから大人しく言いなさい、と迫ってくる色違いの瞳に観念した綱吉は重い口を渋々開いた。

「骸が」
「は?」
「だから、オレ、骸の身体が好きだったみたい」
「は!?」

ちょっと待ってください!君、僕の事が好きだったんですか!?初耳です!!
と捲くし立ててくる骸を無視して綱吉はつい先日まで隣に居た10年後の骸を思い出していた。

(10年後の骸、細いのに筋肉ついてていい身体だったなぁ…)

(2009.5.8)
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「『10代目…』」
「『獄寺くん……』…ってなんで顔赤らめちゃうかなー!?」
「す、すみません!」

撮影が始まって何度目かの獄寺のNGに現場監督からNGの声がかかる前に綱吉が声をかけた。
その瞬間張り詰めていた空気がいっせいに緩む。

「本当にすみません…!」
「いや、オレは何度だって付き合うから大丈夫だよ」

深々と頭を下げる獄寺に綱吉は優しい声をかける。
「さすが10代目、お優しい…!」と感激した獄寺が顔を上げた瞬間監督、と兼任で役者もこなす凄い赤ちゃん、のリボーンから冷たい一言が飛んだ。

「獄寺と山本、交換な」
「り、リボーンさん!」
「オマエには正気を保ったままツナと近距離で真正面から見詰め合うなんて無理だろう」
「そ、それはそうですが…」
「だから山本、交換だ」
「りょーかい!」

ニカっと笑った山本が綱吉に近づく。

「よろしくな!」
「こちらこそ、よろしく」

ペコリと頭を下げる綱吉に山本は爽やかな笑顔を返す。
「じゃ、リハーサルな」というリボーンの声で、それぞれが定位置にスタンバイする。

「『ツナ…』」
「『山本………』ってちょっと、顔近すぎだからー!!」
「あ、悪い悪い。つい」
「ついってもう、山本はー!」
「ツナ見てるとどうしても近づいちゃうのなー」
「変なの〜」

シリアスなシーンのはずが、和気藹々と言葉を交わす綱吉と山本を出演を待つ人々が遠巻きに眺めている。
一見、微笑ましく見守っているようでいて、よく見ると実はそれぞれの瞳は冴え冴えとしている。
特に獄寺は「そのポジションはオレだったのに…」とブツブツ呟きながら羨望と呪詛をあわせたような視線を2人に送っている。
「それでは本番行きます!」とADの声がスタジオに響く。
開始の声が掛かると綱吉は1度ぎゅっと目を瞑ると、開いた瞬間に「沢田綱吉」の表情へと切り替えた。
その変化を目の前でまともに見た山本は、ブルッと身体を震わせ、自分も気持ちを引き締め直した。

「『ツナ…』」
「『山本………』…?」

首を絞める、というト書きだったはずが山本の大きな掌は綱吉の小さい顔の輪郭にそっと沿えるように触れた事に綱吉は疑問を覚える。
しかし本番中に首を傾げるわけにはいかず、表情はそのままで頭にたくさんの「?」を飛ばした。

「『ツナ……』」
「……!?」

頬に掌を当てたままの山本がそのまま綱吉へと顔を近づけ続け、ついにその距離が0になった。
世に言う、キス、である。

「……!?」
「わりーわりー!ツナの顔が目の前にあったら、つい」
「い、今のはなんですか、山本武!」

凍りついたスタジオの中に声が響き渡った。

「僕も…僕もしたことないというのに……っ!」
「って、オマエ言うことはそれかよ!」
「それ以外に何があるっていうんですか…!」

出番がないはずの骸が呆然とした表情でよろよろと近づいてくる。
それを綱吉はちょっと嫌そうな表情で見返した。

「いや、それ以前にオマエ出番ないよなー!?なんでいるの!?」
「僕は綱吉くんのシーンはいつでも見守ってますよ!」
「堂々と何言うんだよ!帰れ、このストーカー!」
「酷い!」
「だいたい、オマエ出番ずっとないのになんでたいていスタジオに居るんだよ!」
「ですから!綱吉くんの影にはいつも僕ありです!」
「気持ち悪っ!」

論点のズレた2人の言い争いは正気を取り直したリボーンが銃声を上げるまで続いた。

「ツナの唇って見た目通り柔らかいのな!」

おわれ

(2009.5.23)
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「どうぞー」

綱吉は張り付いた笑顔を浮かべながら機械的に同じ動作を繰り返していた。
道行く人に広告の入ったポケットティッシュを差し出す、それだけの動作を。
差し迫ってお金が必要だった綱吉が取っ払いである程度まとまったお金が貰えるという単純な理由で選んだバイトだったが、思いの外きつかった。
主に精神的な部分、で。

(絶対今度からティッシュでもビラでも貰ってあげよう…!)

貰ってくれる人のほうが少数、というのは予想をしていたがそんな綱吉の予想を遥かに凌駕するほどあまりにも都会を歩く人々はティッシュを配るという慣れ親しんだ光景に無関心で無頓着だった。
ノルマとして渡された2箱はほぼ丸々の状態で道の片隅に残っている現状に溜息が出た。

「……?」

突如、綱吉は熱い視線を感じて辺りを見渡した。
すると綱吉から10mほど離れた所に佇む男がこちらを凝視しているのが視界に入った。
髪型が一部奇妙な気がするが、小さい頭とすらりとした日本人の平均身長から考えると高めの長身は非凡なバランスで、雑踏の中にあって非常に目立つ。
遠くて細かい部分はよく見えないが顔の中身も平均以上に整っていそう、だ。
現に周囲を歩く女性全てがその人物をチラチラと見ているのが分かる。
そんな、所謂「芸能人オーラ」をかもし出す男が一歩一歩近づいてくる事に気付き、綱吉に緊張が走った。

(オレ、何か気に障ることしましたかー!?)

そんな綱吉の心情は無視して、その人物は綱吉の目の前まで来て、立ち止まった。
近くで見るとますます非凡さが際立っている事がわかる。
黒、かと思っていたサラサラの髪は光の反射具合によっては濃紺にも見える不思議な色。
顔のパーツは想像通り、というか想像以上に整っている。
そして何より目を引くのは左右色違いの瞳。

(うわー…一般人、なのかなぁ?)

一時のパニックをよそに綱吉はその男の顔に釘付けになった。
…元々面食いの傾向があることは本人も十分に自覚している。
ただし、そういう趣味はないという事も十分に自覚している。

「あの…」

(声まで良いとか神様って不公平だな!)

「なんですか?」
「それ、貰えるんですか?」
「…それ、ってコレですか?」

男の視線が綱吉の手元にあるのを確認し、コレと綱吉はティッシュを持ち上げる。
男がコクンと頷く。

「それ、です」
「勿論です。どうぞ」

変な人だなー、という感想を抱きつつこの数時間で身に付けた笑顔を浮かべながら綱吉はそれを差し出した。
その途端、冷たい表情だった男が全開の笑顔になった。

「ありがとうございます!」
「って、なんでオレの手を握るんですか!?」
「え、君をくれるんじゃないんですか?」
「そんなわけあるかよっ!」

綱吉が手を振り解こうとしても笑顔の一見優男に見える男はどこにそんな力があるんだ?というほど恐ろしい力で綱吉の手首を握って離さない。

「観念してください。一目ぼれです」
「いや、それオマエの都合で、オレには全く関係ないですよね!?」
「1度貰ったモノは返さない主義です」
「オレはティッシュしかあげてないから!」

(2009.5.24)
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「フラン、匿って!」

ボンゴレの屋敷内の一角、ヴァリアーの幹部たちの部屋が並んだ廊下を駆け抜ける綱吉はその勢いのままそのうちの一つの扉をノックしながら叫んだ。

「今日はどっちですかー?先輩?師匠?」
「骸の方!」
「師匠ですかー。面倒ですねー」
「そういわずに頼むよ!面白そうな霧の匣が手に入ったからそれあげるから!」
「オーケーですー」

ガチャ、という音と共に扉が開くとその隙間に綱吉は身体を滑り込ませ間髪いれずに内側から厳重にロックをかけた。
ふー、と溜息をついた綱吉の背後でフランが「お疲れ様でーす」と肩を叩く。

「師匠、どっかに飛ばされてませんでしたっけ?」
「うん、アジアの方に行って貰ってたけどあいつ悔しいけど優秀だから予定かなり縮めて戻ってきやがったんだ…」
「師匠は頭の中身は残念ですが能力的には言う事なしですからね」
「……一応、仮にも、師匠、なんだよね?」
「そうですよー。あの人の能力は認めてますよー。人としてはどうかと思いますが」
「あ、うん、そうだよね」

綱吉はもう一度溜息をつきながらソファに座って、部屋に入ってから初めてきちんとフランの方をむいた。
ヴァリアーの隊服にカエルの被り物という姿を見慣れているせいかラフな格好で髪の毛がそのままの状態のフランは何度見ても綱吉に違和感を覚えさせる。

「あなたも懲りない人ですよねー。そんなに逃げるくらいなら師匠を解任すればいいと思います」
「うーん。フランと同じ理由、だよ。骸の能力は認めてるし、必要だから。…人としてどうかと思う瞬間はそれ以上に多いかもしれないけど」
「そうですねー。あの人のあなたに対する執着心は異常ですよね、変態ですよね」
「うん、否定は出来ないよね」
「ミーが来る前はどうやって対処してたんですか?」
「…スクアーロのところに助けを求めて行くともれなく山本がついてくるからボンゴレが誇る剣豪2人に守ってもらうか、法外な値段を払ってマーモンに頼むかしてました」
「アホのロン毛隊長か前任の人ですかー」

「あ。来たみたいですよ」とフランは扉を指差した。
びくっと綱吉の身体に緊張が走る。
「修行の時でも本気を出してくれない師匠が、あなたが絡んだ時だけ全力を見せてくれるので楽しいですよー。あの人本当に屈折してますよねー」
「…フランがそういう性格で本当に助かってるよ」

いそいそと匣とリングを用意するフランの背中を綱吉は全幅の信頼を寄せる瞳で見つめる。
そこにドンドンとノックする音が響いた。

「フラン、ここを開けなさい。沢田綱吉がここに居るのは分かってるんですよ」
「嫌ですー。」
「…しょうがないですね。僕は疲れてるので今日は極力、力を使わずに綱吉くんを回収したいんですよ」
「それは師匠の事情ですよねー」
「そうですね。だから取引しましょう、フラン。以前君が欲しがっていた6ナンバーのヘルリング。アレと綱吉くんを交換でどうですか?」
「オーケーですー」
「フラン!?」

終われ

(2009.6.26)
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「綱吉くん…っ!」

騒がしい声を上げながらボンゴレ10代目執務室の扉をノックもせずに開け、遠慮一つせず飛び込んできた男を綱吉は疲れきった瞳で見返した。

「…今度は何?」
「何?ではありませんよ!今日初めて知ったんですが…」

綱吉の冷たい口調と視線もものともせず骸はバンバンと綱吉の座る机を叩いた。

「クロームの方が僕よりも報酬を貰ってるってどういうことですか!?」
「あー…通帳でも勝手にみたのか、オマエ?」
「そんな事はどうでもいいんですよ!綱吉くんは僕の働きにご不満があるんですか!?」

報酬の件を切り出された時に不満をぶつけられるのかと思った綱吉は、不安そうな表情で迫ってくる骸に面食らう。

「いや、オマエは十二分に働いてくれてると思う、よ」

いつもありがとう。
と綱吉は付け足す。

「…では、何故?」
「………女の子はお金がかかって大変なんでしょ?ってボスが気を遣ってくれてなの、骸さま」

骸が開け放した扉から華奢な身体がひょこっと顔を出す。
途端に綱吉が笑顔で手を振る。

「…君がそんなにフェミニストだったとは知りませんでしたよ」
「いや、フェミニストとかじゃなくてさ…10年後に行った時にクロームがハルや京子ちゃんと仲良くなっただろ?だから渡伊する時に二人に『男所帯の中に1人で大変なんだからクロームちゃんには極力フォローをしてあげてください!』って念を押された上に、母さんとビアンキには『女はお金がかかる生き物なのよ』って言われてさ」
「で?」
「確かにクロームは紅一点で大変だろうし、せっかく可愛いんだからいつも綺麗にしていて貰った方が内部的にも士気があがるのかなー?と思ってリボーンに相談したら『マフィアのボスっぽくなってきたな。クロームを愛人にでもするのか?』って言われながらも報酬にプラス αする事でまとまったんだよ」
「…愛人?」
「いや、今引っかかって欲しいのはそこじゃないよね?」

妙な所に反応する骸をほっといて綱吉は「ね?」とクロームに微笑みかける。
それに対しクロームも可愛らしく笑い返す。

「綱吉くん!ボスの守護者たるもの、やはりいつでも綺麗にしておいた方が良いっておっしゃるんですね?」
「え、ちょっと違っ」
「僕は見ての通り人一倍見目が良いです」
「まぁ、自分でそれを言っちゃう性格はどうかと思うけど、顔は良いよな」
「今まで以上に身なりに気を配りたいと思いますから、クロームではなく僕をドン・ボンゴレの愛人に…!」
「オマエ本当に気持ち悪いよ!」
「骸さま……ボスは女の子の方が好きよ?」

(2009.6.28)
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「あ!分かった!」

10年後から帰宅(?)してきた綱吉の元に15歳の骸が訊ねてきたのは数分前。
「お久しぶりです」というような実に人間的な六道骸には似合わないやりとりを終えたところで、ジーっと骸の顔を凝視していた綱吉が声を上げた。
思わず骸は眉を顰める。

「…なんですか?」
「オレ、10年後の骸に会ったんだけどさ」
「会ったんだけど?」
「なんて表現していいのかずっと分からなくてもやもやしてたんだよね」
「表現?」
「例えばさ、10年後の獄寺くんはすっごい男前だったし、山本も「大人の男」って感じで格好よかったし、雲雀さんも和服が似合ってて格好よかったんだよね」

綱吉の口から他の男の賛辞が紡がれる事に骸はムッとし、秀麗な顔を歪める。

「お兄さんも落ち着いててイイ男になってたし、フウ太も山本より背が高くなってて育ちの良いぼっちゃんみたいだったし、皆とにかく格好よくなってたんだよ」
「…それは良かったですね」
「でもさ、10年後のオマエに会った時「格好よい」って言葉がしっくり来なくてさ」
「……10年後の僕は、他の人に比べて見劣りしていましたか?」
「違うって!なんだろー?ってずっと思ってたんだけどさ」

そこで言葉を切った綱吉は骸を凝視して、うんうんと頷いた。

「オマエって格好良いってより美人だよな!」
「…はぁ?」
「男前とかじゃなくて、美人って言葉がピッタリくるんだよな」
「…美人って普通は女に対する形容詞じゃないですか?」

美人なんて言われても嬉しくないんですが。
と存外に言ってくる骸をものともせず、綱吉はニッコリ笑った。

「だって、10年後のオマエとびっきりの美人だったよ!」

そりゃ10年後のオレが隣に置いておきたがるはずだよな!うわー楽しみだなぁ!早く10年後の骸に会いたいな!早く大きくなってな!

無邪気な笑顔を浮かべながら矢継ぎ早に言葉を吐き出す綱吉に、「今の僕じゃ不満ですか?」と突っ込むことは15歳の骸には出来なかった。

(2009.7.14)
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「綱吉くんは皆さんと用事があるからここでお別れですよ」

さぁ僕たちは帰りますよ。
と骸はツナの手をとった。
その瞬間、先ほどまでにこにこ笑顔だったツナの顔が盛大に歪む。
そして。

「いやー!ママといるー!ママがいいー!!」

ツナは綱吉にしがみつくと、力の限り全力で泣き出した。
周囲に居る人たちが「何事?」という顔で音源であるツナの方を見るが、なんとなく雰囲気と言葉から理由を察知するのか微笑ましい表情になる。
綱吉と骸が困った表情を浮かべてお互いに目配せをする。

「どう、しますか…?」
「でも、一緒にはいれないから……泣いてるけど連れ帰ってくれる?」
「分かりました」

そういうと骸はヒョイっと泣き叫ぶツナを抱え上げる。

「帰りますよ。綱吉くんにさようならをしましょう」
「いやー!ママがいいー!!」
「では」

一向に泣き止む気配がないツナを抱えたまま骸は改札を抜けていくが、駅構内に止む事のないツナの泣き声が響き渡り続ける。

「……あれじゃ、骸が人攫いみたいなのなー」
「まだ泣き止まないっすね…」

山本と獄寺が呆然と骸とツナの後姿を目で追いながら感想を述べる。

「んー…きっと眠くなってきてるから、余計にオレと一緒にいたいんだろうねぇ。お昼寝はオレとしてるから」
「母親も大変っすね…」
「あそこまでママ、ママ言ってると骸が可哀想なのな。あ、戻ってきた」

山本の言葉で「え?」とその場に居る皆の視線が改札に向かうと、ツナが後ろに困った表情を浮かべる骸を従えてとてとてと改札から出てくる所だった。

「うわわわわ。オレ、ちょっと隠れるから、後よろしく!」
「おう」

綱吉はそういうとささっとその場を移動し、姿を隠した。
若干嗚咽を残したままのツナが皆の元へ戻ってくると、きょろきょろと辺りを見渡す。

「ママは?」
「どこ行ったんだろーな?」

山本はそういうとツナの頭をくしゃりと撫でた。
ツナはイヤイヤと首を振って「ママ探す!」ととてとてと歩き出す。
その後ろを骸が困った表情を浮かべたまま着いていく。

「お父さんって大変なのな…」
「えぇ、そうですね…」


数分後。
綱吉の見守る前で、骸とツナは男同士の約束を取り付け、円満にその場を後にした。
現金なツナは「パパといるー」と笑顔で言っている。

「ばいばーい!」
「では失礼します」

上機嫌なツナと疲れた表情の骸を、その場に居た全員が哀れみと同情のこもった表情で見送った。

(2009.7.20)
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綱吉は1時間目の終わりのチャイムと共に机に突っ伏した。

「眠いー……」
「どうしました10代目?」
「昨日ゲーム夜中までやっちゃったんだ…」
「あー、先週発売だったもんな」
「うん……」

半分瞳が閉じかけている綱吉を囲んでいつもの2人がぎゃーぎゃー騒いでいる(のは獄寺が一方的にではあるが)のを、綱吉はどこか遠いところの出来事のように聞いていた。
そんな綱吉の耳に更に遠いところからのざわめく音が入ってきた。

「なんすかね?」
「なんか廊下騒がしいのなー」

それは友人たちにも聞こえてきたらしく2人が頭上で会話を交わすのを綱吉は瞳を閉じたまま聞いていた。
ざわめきの発信源は徐々に近づいてきている。
主にその音は、女性特有の高い声、である事も分かる距離になったその時。

「おまえっ!」
「何でここにいるのか不思議なのなー?」

友人たちの気配が一転して険しいものになった。
(あ、この気配は)

「綱吉くん、こんにちわ。お迎えにあがりましたよ」

クフッ
と一風変わった笑い声つきで六道骸はそういうと、2人の友人に止める隙を与えない速さで机に突っ伏したまま動かない綱吉を掻っ攫い、荷物のように肩に背負った。

(血が、昇る……)

「骸!」
「穏やかじゃないのなー!」

臨戦態勢を整えた友人たちをものともせず綱吉を担いだ骸はそのまま教室の窓に足をかけ。

「それでは、失礼します」

そういうと軽やかに窓から飛び降りた。

(ここ、3階……)

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「で、オレを攫った理由は?」
「せっかくなので皆既日食を一緒に見ようかと思いまして」
「かいきにっしょく…怪奇日食?」
「変な漢字変換は辞めなさい」

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「どうです?わざわざ高いお金を払って暑苦しい土地に行かなくても見れるんですよ」
「本当だー!すごい!太陽が隠れちゃってるよ!!」
「まぁこの辺りで見えるのはいわゆる部分日食ですけどね。それでも4分の3が隠れるんですから十分だと思いますよ」
「オマエって本当に爺くさいというか…変な雑学いっぱい持ってるよな…って褒めてるんだからそれ仕舞えよ!」

(2009.7.20)