log01(2009.2〜2009.4)


6927/現代/コルテオ感想文
6927/数年後/綱吉人生初フライト
69→27+髑髏/未来編後現代/初めての友達(ツナは出てきません)
6927/10年後/綱吉を誘拐する骸さま
69(25)27(14)/10年後/骸がうっかり出現してしまった場所は…
6927/現代/ライブ感想文
69(25)27(14)/10年後/綱吉の匣兵器は…

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「うわっ!すごい!!」

綱吉はただでさえ大きな瞳を更に大きく見開き、目の前の舞台で繰り広げられる夢のような空間に釘付けになっていた。
舞台上では3つのシャンデリアに4人の女性(しかも下着姿だ!)がぶら下がり、舞っている。

「すごい!綺麗……」

あまりにも綱吉の視線が舞台に釘付けになっているので、骸は若干面白くない気分になった。

(せっかく久しぶりにこうして一緒にいるというのに)

どうして君は僕じゃない所を見ているのですか?
骸がそう問いただしたくて仕方がなくなった、その瞬間。
綱吉の手が横から伸び、骸の膝の上に置かれていた手をキュッとつかんだ。

「ねえねえ、骸!今のみた!?」

凄いね!どうして首だけで身体を支えられるんだろうね?
そう続く綱吉の言葉は真っ白になった骸の頭の中には全く入ってこなく、気づいたら舞台の前半は終了していたのだった。
感想を言い合いたくて仕方がない綱吉に対し、居心地が悪そうに言葉を濁すしか出来ない骸にとって30分の休憩は地獄、だ。
とりあえず一時避難、と骸は立ち上がり言った。

「飲み物、買ってきますね」
「ありがとー。オレ炭酸がいい」
「分かりました」

そそくさと舞台のテントから出ていく骸は、すれ違う人がいぶかしげに顔を見てくるほど……にやけていた。

(初めて、綱吉くんと手を、繋いでしまった!)

(2009.2.1)
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「沢田綱吉、大丈夫ですか?」
「え?」
「顔が真っ白ですよ」
「な、なんでもない、よ?」
「ならいいのですが」

ボンゴレ所有のプライベートジェットに乗り込みながら、綱吉との直前の会話と顔色の悪さを骸は反芻する。
(あれはどう考えても普通の顔色ではないですね)
自分の中で結論が出た骸は医療班を呼ぶべきでは、と綱吉に声をかけようとして固まった。

「え?え??」
「やっぱりダメだ!頼むから、ずっと隣に居て!お願いだから、離れないで!!」

綱吉は半泣き状態でそういうと、骸の腰の辺りにぎゅっと抱きつく。
すぐ近くから「10代目!?」と騒ぐ忠犬の絶叫や、自称親友の視線だけで人を殺せるような眼差しを感じるが、そんな事はどうでもよくなるくらいに骸は動転していた。

「な、にをするんですか?」
「絶対にオレの隣に居て!お願いだから!!」
「なにを」
「骸しかいないんだよ!」

綱吉の言葉が骸の脳内に木霊した。
(ぼくしかいない、と言いましたか?)

「ボンゴレ、君は、何を」
「だってオマエが一番殺しても死ななさそうなんだよ!」
「………は?」
「もし仮に飛行機が落ちてもオマエだけは助かるだろうから、ここが一番安全とオレの超直感が言ってる!」
「…………はい?」
「だから隣に居て!飛行機降りるまででいいから!オマエの生命力でオレを生かして!」

それから約12時間。
骸がトイレに行く時はもちろん、自分のトイレにも骸を連れていく綱吉の姿があった。
シャワーブース完備のプライベートジェットだったが、そんな状態でシャワーを使う勇気は骸にはなかった。


「ダメツナのあだ名は伊達じゃありませんね!」
「だって飛行機初めて乗ったんだもん!」

(2009.2.22)
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「骸さま、聞いてください」
「どうしたんですか?」

クロームが頬を紅潮させながら骸の元に駆け寄ってくる。
その珍しい姿に骸は形の良い眉毛を器用に片方だけ吊り上げた。

「私、初めて女の子の友達が出来ました」
「おや。それは良かったですね」
「とても嬉しい、です」

いつになく饒舌に喋るクロームを見やる骸は保護者のような優しい視線を送っている。

「それで“友達”というのは、どんな子なのですか?」
「ボスの好きな人と、ボスを好きな人です」
「……え?」

クロームがきっぱりと言い放った言葉に驚いた骸は聞き返す。

「今、なんと?」
「笹川さんはボスが好きな人で可愛くて優しい人。三浦さんはボスの事がとっても好きで、元気な人」
「綱吉くんの、好きな人?」
「はい。ボスは笹川さんが好き。二人が並んで歩いているのを見るととっても心が温かくなります」
「…………」
「骸さま?」

親しい同年代の女の子が出来た事に興奮していたクロームだが、ようやく骸の異変に気付きトーンを落とした声で問いかける。

「骸さま、どうかしましたか?」
「クローム、君は綱吉くんには好きな女がいる、と言っているんですか?」
「はい。ボスに聞いたら真っ赤な顔で色々言っていましたが、否定はされませんでした。焦ったボスはとっても可愛かったです」
「………ありえない」
「骸、さま?」

クフフフフと笑う骸をみて、クロームはようやく自分が何か地雷を踏んだということに気がつく。

「ありえません!綱吉くんに、僕以外に好きな人がいるなんてことは!」
「む、骸さま」
「そんな事は断じて許しませんよ!クローム、その“笹川さん”とやらに今すぐ会わせなさい!」

(2009.2.24)
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「えっと…ここは、どこですか?」
「パリです」

突如現れた骸に問答無用で掻っ攫われた(肩に担がれて、あれでは荷物扱いだ!)綱吉は、骸の運転する車に数時間乗せられ見るからに都会な町へと連れてこられていた。

「さ、降りてください」
「は、はい」

運転席から降りた骸は嫌味なほどさりげなく助手席のドアを開け綱吉をエスコートする。
それが似合っているから、綱吉の癪に障る。

「先に…マルシェに行きましょうか。何か食べたいものは?」
「え?」
「作れるものは限られていますが、恐らく君が思いつくくらいのものなら作れますよ」

さ、行きますよ。
そういうと骸は綱吉の手を握ったまま歩き出す。

「ちょっと、手!」
「何か問題でも?」
「いや、大有りだろ!」
「ここには僕たちを知っている人はいないです」
「だからって男同士ってさ…」
「君は気にしすぎです。見てる人なんて居ませんよ。ここに居るのはただの沢田綱吉と六道骸です」

骸は常時の人を見下す冷笑ではなく、フッと優しく微笑む。
最近、新しく勢力を伸ばしだしたマフィアの問題で常に気を張っていた綱吉はその笑顔で強張っていた自分の顔が綻ぶのを感じた。

「ま、いっか」
「そうですよ」
「オレ、パスタが食べたいなー。ずっと前に作ってくれたの」
「分かりました」

骸はニッコリと笑ってお目当ての食材を取り扱う店を探す。
そんな骸をこっそり見上げた綱吉は
(オレって甘やかされてるなぁ…)
と苦笑するしかなかった。

「よくリボーンが許したな」
「アルコバレーノの無理難題をこなしてあげましたからね」
「だから最近忙しそうだったんだ」
「……君は、部下の仕事を把握してなかったんですか?」
「ははははは。リボーン経由の仕事は管轄外です」
「天下のボンゴレファミリーのボスが、ねぇ」

そういいながらも優しい笑顔で骸は綱吉を見つめる。

「何日間?」
「3日間もらいました」
「そっか。……ありがとう」
「どういたしまして」

最近勢力を伸ばし始めているミルフィオーレとの問題でオーバーフロー気味だった綱吉は、誰よりも厳しく、だけど誰よりも生徒思いの家庭教師と、隣を歩くマフィア嫌いの恋人に心からの感謝を送った。


Merci beaucoup

(2009.3.5)
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『……クローム。聞こえますか?』
「え、骸さま?」
『今、何をしているんですか?』
「お風呂に…」
『そうですか。久しぶりに僕もお風呂に入りたいですね。代わりましょう』
「ちょっと待ってください、骸さま…!」

お風呂の湯気に混ざって、霧が辺りに立ち込めた。

「どうしたんですか?クロームちゃ……!?」

小声で独り言を言っていたクロームの方を向いたハルはそこにある姿に絶句した。
そして見る間に赤くなり、発狂した。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!破廉恥です!あなた誰ですか!エロいです!クロームちゃんどこにいったんですか!?」

錯乱状態のハルの視線を追った、ビアンキと京子も目線の先の存在に目を疑った。

「え?」
「……霧の、守護者?」
「………おや?」

その場が凍りついた後、骸はビアンキの制裁を受けた。

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「そこに座れ」
「…不可抗力です」
「いいから、そこに座れ!」
「……14歳の君に言われても怖くないですよ」
「いいから!」

全く反省の色を見せない目の前の男を、綱吉は奇異なものを見る思いで見つめた。
綱吉の知っている六道骸よりも、身長が伸び骨格も大人のそれとなり、元より整っていた顔は精悍さと色気が加わって更に凄さを増している。
頭部の奇妙な房はそのままで、尻尾のように襟足がにょろっと伸びているのが変といえば変だが、この男には奇妙に似合っていた。
…認めよう。
悔しいが、格好よい。

「骸……さんは」
「骸で結構です」
「じゃ、骸、はあそこで何してたんだ?」
「クロームと交換してシャワーを浴びようと思っていただけです」
「…意図的じゃない、と言い張るんだな?」
「勿論ですよ。あんなお子様たちの裸になんて興味ありませんよ」
(僕が興味があるのは今も昔も綱吉くんだけです)

綱吉の体中に鳥肌が立った。

「オマエ、今変なこと考えてなかったか?」
「いえ、何も」

(2009.4.14)
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『それではここでクイズです。』

ボーカルが息を整えながらMCを始める。

『好きな人と居るとすぐにたってしまうものってなーんだ』

(あぁ下ネタな答え言わせるけど別な答えがあるって引っ掛けクイズかぁ)
と思った綱吉は隣からボソッと聴こえたバリトンボイスへの反応が一瞬遅れた。

「はんっ。そんなの決まってるじゃないですかね、綱吉くん」
「…へ?あぁ、だよね」
「今も綱吉くんが横に居ると考えるだけで僕の」
「わーーーーっ!ストップ!オマエ黙れ!!」
「…なんでですか?」

次の曲が始まっているため、骸の声は周囲には聴こえなかったらしく綱吉はホッと息をついた。
そして見下ろしてくる骸を若干軽蔑の眼差しをこめて見返す。

「そんなの“時”に決まってるだろ。時間がすぐに経っちゃうんだよ」

骸のキョトンとした表情が、綱吉にはえらく印象的だった。
(本当に分かってなかったんだ!)

(2009.4.25)
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綱吉は手の中にある匣をジッと見つめた。
脳裏に京子との会話が蘇る。

『その子…本当はすごくツナ君と仲良くしたいのかもね』
『ツナ君の気持ちと同じ気持ちになってるもん』

(オレと同じ気持ち…オレが「化け物」と思ったから、動物の形ではない兵器が出てきた、のかな)
だとしたら、

と綱吉は匣を両手で優しく包み込み、瞳を閉じた。
落ち着くために深呼吸を繰り返す。

(強くて、頼りになって、綺麗な生き物)
呼吸を整えながら脳裏に少しずつおぼろげな輪郭を描いていく。

(信頼できる、オレの、未来のオレの匣兵器)
獄寺くんの瓜とも、山本の燕とも、お兄さんの漢我流とも、雲雀さんのバリネズミとも違う、

「オレの、匣兵器」

そう言うと綱吉はリングに炎を灯し、匣に注ぎ込んだ。
正直怖くないかと言えば、嘘になる。

(でもオレが信じないと、こいつはオレの味方にはなってくれないんだ)

煙と共に匣が開匣する。
綱吉は自分の心臓の音がやけにリアルに響くのを感じる。

(何が、出てくるんだ)

「……クフフ」
「…………え?」
「こんばんわ、ボンゴレ」
「…………んなっ!え!?何!?」
「初めまして、の方がいいですかね。10年前の綱吉くん」

匣から出てきたのは、精悍な体と顔つきに成長した、綱吉の霧の守護者だった。

「えぇー!?六道骸!?なんで!?」

慌てふためく綱吉を愛しいものを見る目つきで骸は見つめる。

「君が望む形状を取るのが君の匣兵器ですよ」
「オレの望む形状…?」
「君は何を考えましたか?」
「オレは…強くて、頼りになって」

綺麗な生き物。
と言いかけて綱吉はハッと自分の口を塞いだ。
目の前の自称匣兵器はその姿を見て破顔する。

「嬉しいです。君は僕の事『綺麗な生き物』と評価してくれてるんですね」
「ちょ、今のなし!やり直すから、オマエちょっと匣に戻って」
「せっかく出てこれたのですからイヤですよ。仲良くしましょうよ」

ね。
と整い過ぎた顔で優しく微笑みかける骸から綱吉は顔を逸らした。

「オマエ、10年経っても変わらないどころか更に斜め上を行く存在だな!」
「お褒めいただいて光栄です」
「褒めてない!この人外魔境!戻れ!」
「さすがの僕も傷つきますよ」

そういいながら骸は一歩一歩綱吉との距離を縮めていく。
綱吉もそれにあわせて後ろへと下がるが、いかんせん歩幅が違いすぎる上に後ろ向きに歩いている分不利である。

「捕まえました」
「ぎゃーっ!匣兵器はこんな事しない!」
「でも実際に僕が居るわけですし」
「本当にお願いですから戻ってくださいお願いします神様仏様リボーン様っ!」

(2009.4.27)